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2013年7月5日金曜日

ドラキュラ的生活5

ドラキュラは挑んだ。
そして、打ち拉がれた。
巷は、バーゲンセールに沸いている。
ドラキュラも参戦したいと、真っ暗になってから出陣した。先月末のこと。
ドラキュラには、バーゲンセールでの必勝技がある。かつて健康な人間だった時に取得したのだ。
ぶらさがる洋服と一緒にぶらさがるように近づいて、気に入ったモノのハンガーを次々むしり取る。他者を寄せ付けない、早さ、勢いが大切だ。取捨選択は、後ですれば良いのだ。
 もう、一つはセンスの良い格好の女性が握って、離したモノを、つかさず取ることだ。労せず、いいモノを得ることができるのだ。
 しかし、もはや百貨店の扉は堅く閉ざされていた。
ドラキュラが御免ください!と叫んだところで、開くわけもない、ずっしりとした扉だ。
 せめて、ショーウインドウのディスプレイを写したかったけれど、シャッターが下りていた。
未練がましく振り返る。
帰途、クチナシの甘い香りが悲しくて。
光線過敏の症状が重い、ドラキュラは海開きも山開きも無縁だ。
そして、夏の百貨店のバーゲンセールも。


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